2009年4月23日

フィラリア予防

この前お食事に行ったら蚊を見かけました。


蚊・・・・・

もうフィラリアの季節ですね。
ディオはアカラス症になってしまいましたが、フィラリア症についてもおさらいしておきたいと思います。


■ フィラリアとは?
フィラリアとは、別名「犬糸状虫」のことで、蚊が媒体となり体内に寄生し、血液の循環障害を起こします。
これをフィラリア症というそうです。

フィラリアの成虫は、体長12-30cm、太さ1-2mmと細長くて乳白色。
よく標本とか、フィラリア予防の告知とかで出てくる写真のニュルニュルのやつですね。

フィラリア症を発症するまでにはいくつかの段階を経るため、蚊に刺されたらすぐにフィラリア症になるということでもなさそう。

というのは、フィラリアの幼虫「ミクロフィラリア」にはL1-L5までの段階があります。
まず、フィラリア症に感染した犬の体内にミクロフィラリアが生まれます。
「ミクロフィラリア」の大きさは、体長300ミクロン、体幅6ミクロンもの小ささ。
フィラリア感染犬の血液中に存在している、L1と呼ばれるミクロフィラリアには何も影響力もなく、蚊に取り込まれないと成虫になることはできないそうです。
その感染犬の血を蚊が吸う際、ミクロフィリアも一緒に吸い上げられ、吸い上げられたL1は、蚊の体内においてL1→L3まで成長してきます。

L3のミクロフィラリアが、いわゆる“感染幼虫”だそうです。

L3を所有していない蚊に刺さされてもフィラリアに感染することはなく、L3を所有する蚊が犬の血を吸血する際、表面に出来た刺し傷よりL3は犬の体内に入り込み、皮膚の下で成長を繰り返し、L3→L5まで成長、そして、血管に入り込み血流に乗って、心臓・肺動脈に到着し、寄生するに至るそうです。
肺動脈内部に隙間を見つけると、ミクロフィラリアは成虫となり、感染後6ヶ月経過すると体内にミクロフィラリアを放出し始めるとか。
つまり、フィラリアは、他の寄生虫のように卵を産むのではなく、イヌの体内でミクロフィラリアを産みつけます。
そしてL1となり、蚊に吸い出されるタイミングを待つそうです。

蚊に移れなかったイヌの中のL1ミクロフィラリアの寿命は約2年。成虫の寿命は約6年といわれています。
色々な環境がありますが、蚊の中にいるミクロフィラリアは一般的に15℃以下の環境下において、L3まで成長することが困難といわれています。そのため、気温の低い冬場の間、フィラリア予防をしないわけですね。

もしフィラリア症を発症した場合、すぐに死に至るわけではありませんが、心臓の働きが衰えるだけではなく、肝臓・腎臓も悪くなり、最悪命に関わることもあるそうです。
それに、一度心臓内に成虫が寄生すると虫を取り出すのが極めて困難とのこと。

■ フィラリア予防をする時期は?
フィラリア予防は大体5-12月くらいまで、月1回お薬を飲んだりします。
どうしてこの時期なのかというと、フィラリアに感染しやすい時期というのがあるそうです。

その時期を割り出す目安が、HDU(Heartworm Development Heat Unit)と呼ばれる概念で、フィラリアの感染可能期間を類推する方法として、日本犬糸状虫症研究会、犬フィラリア症予防普及会により提唱されているそうです。
これにより、感染期間(HDUが130以上になる時期:感染開始と終了時期)の目安を知ることができるとか。予防期間は、感染開始+1ヶ月、感染終了+1カ月を目安ということなので、去年2008年を例にあげると、5月20日に始まり、11月8日に終わりました。
従って、6月~12月がフィラリアの予防期間となるわけです。

■ フィラリア予防薬の種類って?
ディオのお兄ちゃんは背中に垂らすタイプを使っていましたが、錠剤で飲んだりする方も多いと思います。
その種類も形状も多岐に渡るので、どれがどうなの??? 何が違うの??? って疑問に思う事がありました。

フィラリア予防薬には、以下の形状があります。
“錠剤、顆粒、チュアブル、スポットオン(背中に滴下タイプ)、注射薬”

予防薬の種類も様々でこんなにあるんだー!と調べてビックリ☆
まぁ、国内と海外での名前が違ったり、ジェネリック医薬品だったりしますが・・・。

*カルドメックとハートガードプラスは同じ製品。
カルドメックは日本のみの販売で、獣医さんだけが取り扱えるということらしい。。。


有効成分もいくつかあり、その成分によっては、フィラリア以外の予防にも効果があるそうです。

※ミルベマイシンオキシム
フィラリア予防だけでなく消化管内寄生虫(回虫・鈎虫)を駆除できる。

※イベルメクチン
フィラリア予防だけでなく消化管内寄生虫(回虫・鈎虫)を駆除できる。

※モキシデクチン
フィラリア予防のみ。

※セラメクチン
フィラリア予防だけでなく、ノミ成虫の駆除、ノミ卵の孵化阻害、ノミ寄生予防。そして、ミミヒゼンダニを駆除できる。

ノミ・ダニ駆除効果を併用する総合製品
□ システック
ミルベマイシンオキシムと、成分ヌフェヌロンというノミ予防が一緒に入っているのが特徴。

□ レボリューション
新成分のセラメクチンを有するフィラリア予防薬。従来まではネコ用6%のみだったが、2008年12月に犬用の12%物が発売された。


■ フィラリア予防の概念
予防のために月1ペースでお薬を処方してもらうフィラリア予防ですが、私は間違った解釈をしていました。
というのは、ワクチンと同じで1回お薬を服用すると、1ヵ月間予防(虫よけを含む)してくれると思っていたんですが・・・・。
そんなの私だけかもしれませんが(笑)、でも、それは全くの誤認識でした。
お薬の効力は1回だけ、服用した時だけ効力を発揮するそうです。

蚊に刺されるタイミングというのは不定期で、そのタイミングを確認することは至難の業。
「刺しますよ」 「吸いますよ」 なんて教えてくれるはずありません。

イメージとしては、1カ月もの間、蚊が吸われてもじっと耐えておき、体内に入ったミクロフィラリアを温存。
そして、お薬で一気にやっつける!!!
そんな感じらしいのです。

通常、病院で処方されて服用するフィラリア予防薬というのは、ミクロフィラリアを駆除する薬であり、成虫のフィラリアになると、このお薬は効力を持たないそうです。
ミルべマイシン系の予防薬ではL5の幼虫を駆除することができ、その他のイベルメクチンを含むその他成分の予防薬は、主にL4の幼虫を駆除することができるそうです。
成虫となったフィラリアにはフィラリア用の駆除薬があるとか。。。

■ フィラリア予防の注意点
よく、イベルメクチン成分はコリー犬種に不向きといわれます。
それは何故かというと、この成分に対して感受性が高い子が多いため、投与後に昏睡や麻痺、アナフィラキーショックを起こすことが多く報告されているからだとか。

副作用の原因としては、MDR1遺伝子変異が起因しているといわれており、それにより、P糖蛋白に何らかの異常が見られることが想定されているそうです。
この P糖蛋白は、消化器粘膜、腎尿細管上皮細胞、脳血管内皮細胞などに発現し、消化器粘膜のP糖蛋白は、薬物を管腔側に排出する作用を持ち、脳血管内皮細胞のP糖蛋白は、薬物が脳組織内に入り込むのを制御しているそうです。
つまり、遺伝子変異の個体にイベルメクチンを投与すると、血液脳関門においてバリア作用を持つP糖蛋白の欠如により、脳内に通常以上の薬物量が入り、それにより神経症状を引き起こすと考えられているそうです。
他にも、抗癌剤、免疫抑制剤、抗菌薬においても、中毒症状を引き起こす可能性があるらしく、十分な注意が必要といわれています。


■ フィラリア予防の前には血液検査をする理由
フィラリア予防薬を動物病院で処方してもらう際、事前に血液検査をするかと思います。
お薬だけくれたらいいのに・・・と思う場合もありますが、動物病院ではできないそうです。
それは、フィラリア予防薬は「要指示薬」という制約のあるお薬に分類されており、決められた手順をクリアしなければ処方してならないと、日本の法律(薬事法)によって決められているらしいのです。
違反すると、薬事法違反となり、300万以下の罰金が科せられるとか・・・。

ここまで制約をする理由としては、フィラリアに感染している個体に、万が一フィラリア予防薬を投与してしまった場合、体内の大量のミクロフィラリアが一気に死滅し、アナフィラキシーショックを引き起こすなど、重篤な副作用が現れ、最悪死亡してしまう可能性があるからだそうです。
この危険性を回避するために、投与前に血液中のミクロフィラリアの有無を確認するのだとか。
この検査が100%信用できるものとは言い切れないようですが、アレルギー反応から回避できるものであれば、やっておいてもいいのかもしれませんよね。

ただ、ディオのように4か月程度の仔犬の場合は、事前検査が不要とのこと。
それは、ある程度の期間(約6-7か月)経たないと、フィラリアは成虫にならず、ミクロフィラリアを産みつけることもないため、血液検査をする必要がないということです。

■ フィラリア薬の個人輸入
フィラリアのお薬は、日本の製薬会社さんがそれぞれ製造販売しているものもあるし、同一成分、含有量であるのに、単に国内外で名前が違うだけのものもあります。成分の違いもありますが、何より一番の違いはその価格帯なのかもしれません。

日本の薬剤代が海外よりも高いと言われるのは、日本国内で先生に処方してもらえるという安心料、仮に自分で輸入手配する場合、手間や本当に届くのかという不安、そして到着するまでの時間、何かトラブルがあった時の対処など、様々な事が関係してくるので、それら全てひっくるめて、掛かり付けの動物病院で処方してもらう場合のコミコミ価格なのだと思えば納得できるかもしれません。
あんなに多数ある中で、何のお薬を購入して良いか分からないのもありますし・・・。

ただ、私は幸い仕事柄、個人輸入の経験があり、個人の責任において、海外からの薬剤を輸入するという選択の余地がありましたので調べてみました。

フィラリア予防薬の個人輸入においては、注意点がいくつかあるようです。
- 今まで毎年フィラリア予防薬を服用していたか。
- 初めてフィラリア予防薬を服用する子犬であるか。
- 個人使用に限定しているか。(商売、転売などは認められない。)

今回はディオが既にお薬「イベルメクチン」を病院で処方してもらっているので購入には至りませんでしたが、来年以降は取り寄せてみようかと思っています。

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