今日は狂犬病ワクチンについて。
日本では狂犬病ワクチン接種は、『狂犬病予防法』という法律で義務となっており、
毎年接種しなくてはならず、もし接種していない場合は、20万以下の罰金に処せられるとか。
ただし、例外もあり、過去に狂犬病予防接種が原因で、副作用を起こしたり、
老齢、病気などで予防接種をすることが出来ない場合、これが免除。
その場合は、獣医さんが“予防接種実施猶予証明書”というものを発行してくれるので、
これを持って各市町村へ提示すればよいそうです。
もっとも、狂犬病とは?
狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、
引っ掻かれたりしてできた傷口から、ウイルスが侵入することにより伝播される。
またごく稀に、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する、人獣共通の感染症のこと。
発病すると治療方法がなく、悲惨な神経症状を示してほぼ100%死亡する極めて危険なウイルスで、体内に侵入した狂犬病ウイルスは、末梢神経を介して中枢神経組織に達し、そこで大量に増え、さらに各神経組織へ伝わり唾液腺で増殖していく。
狂犬病を発病した人や動物は、咽喉頭の麻痺により唾液を飲み込むことが出来ず、結果としてウイルスは唾液と共に体外に排泄されることなる。
潜伏期間は、ヒトの場合、一般的に1~3カ月で、長い場合は1~2年、イヌの場合、1~3カ月で発病し、食欲不振、不眠、唾液の過剰分泌を起こし、ついには死に至る。
ひとたび発病すると、物事に極めて過敏になり、狂躁状態となって、目の前にあるもの全てに噛みつくことになる。
その後、全身麻痺が起こり、最後は昏睡状態になって死に至る。
また、終始麻痺状態のケースもあり、豚や馬では狂躁型が、牛では麻痺型が多く認められているそうです。
お水を飲む時、その刺激で咽喉頭や全身の痙縮が起こり苦痛でお水が飲めないことから、「恐水症」とも呼ばれているとか。
日本のように、狂犬病が根絶した国を“清浄国”と言うそうで、
他に、台湾、キプロス、シンガポール、アイスランド、スウェーデン、ニュージーランド、アイルランド、ノルウェー、イギリス、フィジー諸島があるそうです。
狂犬病は、日本では撲滅された感染症ですが、今現在でも世界中で感染者が出ています。
では、イヌに狂犬病ワクチンを毎年接種する国と、接種しない国は?
最新情報ではないかもしれませんが、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウエー、スウェーデン、スイスは狂犬病ワクチン接種義務を廃止していて任意での接種。
またアメリカ、オランダ、フランスでは、3年に1回の接種と目安としているそうです。
お国変われば法律も考え方も変わる。。。ですね。
イヌ用のワクチンには色々種類があるけれど、じゃぁ狂犬病はどんな種類?
日本で接種されている狂犬病ワクチンの一般名称は、「狂犬病組織培養不活化ワクチン」というようです。
主に、アメリカで使用されるワクチンは、遺伝子組み換えの生ワクチンですが、日本では不活化ワクチンと呼ばれる種類のものを使用しています。
この“不活化ワクチン”とは、死滅した病原体を、免疫を作るのに必要な物質だけを取り出して作られたものをいいます。
感染性も増殖性もないので、体内に入れてもウイルスは増殖しないため、発病する心配はありませんが、その反面、免疫の持続期間が短いので、定期的に(1年に1回)追加接種することが必要ということになるそうです。
じゃぁ、狂犬病ワクチンの危険性はないの?
ディオのお友達で、狂犬病ワクチンを接種後、顔が腫れるなどの副作用が起きた子がいます。
狂犬病ワクチンは、混合ワクチンとは違って生ワクチンじゃないから(病原体を死滅している)、副作用の頻度は低いとは言え、やはり、そういう事実を耳にしたり、実際目の当たりにしたママさんは不安になるのは当然の事。
他の方の公表している情報を頼りに、このワクチンの危険性はどうなんだろうと調べてみました。
狂犬病ワクチンの製法は、ある製薬会社によると、
「狂犬病固定毒西ヶ原株のHmLu細胞順化ウイルス株RC・HL株をHmLu細胞で増殖させ、マクロゴール処理で精製濃縮したのち、β-プロピオラクトンで不活化し、チメロサールを加えたもの」とあります。
そして、保存剤としてメチロサールと、希釈用液としてリン酸緩衝食塩液を使っています。
製薬会社によって主剤、保存剤、希釈用液の分量は違うだろうけれど、基本的な製法は同じと思う。
いくつかの成分が出てきたので、これについて調べてみました。
■マクロゴール :
医薬品添加物に指定されている。
日本薬局方および医薬品添加物規格に収載されたポリエチレングリコールで、酸化エチレンと水との付加重合体。水に溶けやすく、毒性がほとんどないため、個々の特長を生かして、軟こう基剤、座薬基剤、錠剤のコーティング剤や錠剤用バインダーなどに使用されている。
また各グレードにより使用する用途は変わってくる。
■β-プロピオラクトン:
一次発癌剤として知られ、現在でも医薬品添加物としての承認はされていない。
用途は、医薬品、有機合成、繊維改質剤、殺菌消毒剤など。皮膚一次刺激性は強く、眼、鼻、咽頭、気道粘膜刺激あり、0.1mg/L以上では耐えられない。
動物実験で発癌性あり、人に対する発癌性についての疫学的証拠はない、と記載があり。
この成分を使用するのは、化学反応によりウイルスの遺伝子に作用し、増殖性を失わせることが目的。
・・・つまり、これで不活化ワクチンにしているのですね。
■チメロサール:
別名「エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム」とも言われ、殺菌作用のある水銀化合物で、もちろん薬事法で使用は認められているが、「過剰に摂取し続ければ神経障害をもたらす」とも書いてある。
ワクチンに保存剤としてよく添加されているが、日本でも、チメロサールを添加しないワクチンや、チメロサールを減量したワクチンが増え、チメロサールをワクチンの保存剤としてできるだけ添加しない方向にあるらしい。(但し、ヒト用。)
では、なぜチメロサールが使用されるに至ったか。
1916年頃から不活化ワクチンが使用され始め、1つのバイアル瓶には複数人分の用量が入っており、接種の度に注射針を同じ瓶のシールに通し、注射器へのワクチン注入を複数回繰り返すため、ワクチンの中に細菌や真菌による混入感染を招く危険性が高かった。
実際、菌が混入して被接種者に局所や全身的反応を引き起こす事例もあった。
そこで、不活化ワクチンにはバイアル内汚染を回避するための保存剤(防腐剤)が必要となり、微量でも強い抗菌作用をもつチメロサールが使用されるに至った。
このチメロサールは、体内で有機水銀の「エチル水銀」と「チオサリチレート」に分解する。
この「エチル水銀」というものに毒性があると指摘があるが、研究途上にあり、
まれに発熱、発疹、じんましん、紅斑、かゆみ等の過敏症を起こすことがある以外、よく分かっていないとのこと。
同じ有機水銀で「メチル水銀」があり、これが水俣病の原因となったのは周知の事実。
メチル水銀の毒性については研究が進んでおり、この成分は脳に移行しやすく、中枢神経障害が現れることが分かっている。血中濃度半減期は40-80日と推定されていて、一度体内の取り込まれると長期間残存することになり、摂取した母から胎児への影響が示唆された。
一方、エチル水銀の血中濃度半減期は1週間未満と推定されており、メチル水銀より6-10倍速く体内から排出されることになるらしい。
アメリカでは水銀を含有する食品や医薬品の見直しを要請する法律が定められ、ワクチン中のメチロサールについても注目されるようになった。
そして、十数年の間に、アメリカでは乳幼児に対する予防接種による水銀の暴露が増加することで自閉症となる者が増えていると考えた研究者が、メチロサールと自閉症との因果関係の仮説を打ち出した。
様々な議論を繰り返し、ついには、2008年2月28日付の米国自閉症協会の発表で、米国政府がワクチンの水銀で自閉症になると認めたとの記載有。
http://www.nationalautismassociation.org/press022808.php
この結果を受けた後のWHOの見解は不明だが、2006年7月時点での発表では、ワクチンに含まれた水銀からの毒性に関する証拠がなく、チメロサールを使用しないワクチンによる微生物汚染のリスクや、保存条件に留意する必要があるため、発生するコストに言及している。
また、チメロサールを含んでいるワクチンの安全性は一定の間隔で調査されており、差し当たり、現在のWHO免疫政策を変えるべきでないという報告がある。
そして、現在のチメロサールを添加したワクチンの使用を即刻禁止することなく継続しつつ、今後は出来るだけ添加しないワクチンの使用を進めていくことを推奨するとある。
日本も同様に、1999年からチメロサール使用の低減化を検討するよう促し、2003年、厚生労働省が製薬会社に対しにチメロサールを除外した製品の開発を要請するなどの動きが出てきている。
■リン酸緩衝食塩液
細胞生物学、生化学等の細胞を扱う実験でよく利用される緩衝液である。
この緩衝液は生体内で普遍的に見出されるイオンで構成される為無毒であり、等張になるように調製されて細胞洗浄溶液として用いられる。
加えて、付着したり凝集した細胞を遊離させる為にも使われる。
私見。
混合ワクチンと同じで、過剰なワクチンの接種はできれば避けたい。
ただ、日本では法律で定められている以上、それに準じる必要があるのも理解は出来る。。。
それぞれの国の見解があり、風土や環境も違うので、どちらが正解でどちらが間違いという判別はできないけど、ただ、特定の人たちの私利私欲のためだけじゃなく、常に我々被接種者側の立場を考え、常にフレッシュで正確な情報を提供して欲しいし、もし、仮に問題があると判明した時点で、それを迅速に修正してくれるような対応を見せて欲しいと思います。
特に、ワクチンに添加されているメチロサールという成分。
使用の理由も理解できたし、微量のチメロサールの安全性については“問題ない”ということになっていますが、やはりヒトに限らず、動物に対しても、この成分を使用しないワクチンの製造に一刻も早く取り掛かってくれることを切望します。
その狂犬病ワクチンをディオは近々接種する予定。
なんだかんだ言って、日本の法律ですから・・。
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